線形代数を学ぼう その4

←戻る 目次 次へ→
 
連立方程式と行列
  
(1)連立方程式の行列解法

 行列の利用法の一つとして連立方程式があります。

連立一次方程式の行列表現
方程式
行列

 x+3y=4
2x+5y=5

サンプル画像

 左辺の連立方程式を行列に変換したものを係数行列といい、これに右辺を付け加えたm×(n+1)型の行列を拡大係数行列といいます。上記は拡大係数行列となります。

基本変形

 連立方程式の一般的な解法は、式の基本変形の繰り返しによって、与えられた方程式を同じ解をもつ簡単な形にすることです。

 x+3y=4
2x+5y=5

を実際にといてみましょう。
方程式
行列

 x+3y=4
2x+5y=5

サンプル画像

 x+3y=4
 −y=3

サンプル画像

  x=−5
  y=3

サンプル画像


 よってx=−5、y=3となります。この時、行列で行うなら見たとおり数字だけで処理できるのでコンピュータにやらせる時などは行列の方が便利です。この方法を行列解法といいます。

 さて、上記で使った基本変形を詳しく見ていきましょう。

  行列の基本変形
1.ある行をc倍する。
2.ある行に他の行を加えるたり引いたりする。
3.1と2のあわせ技。ある行に他の行の何倍かを加える。

(2)連立方程式の掃き出し法
行列解法の応用。まず以下の連立方程式を解いてみます。

       3y+4z=7
    3x+5y−7z=10
    −x −y+2z=−3

(a)第一列が全て0でなければ、基本変形で(1,1)成分を0にします。
 サンプル画像 サンプル画像
   @とBを交換
 サンプル画像
   @×(−1)
 サンプル画像

(b)基本変形3を適用し、第1列を(1,1)以外すべて0にする。

   A+@×(−3)
 サンプル画像
   この操作を「(1,1)成分をピボットとして第一列を掃き出す」といいます。

(c)第1列を掃き出したら、残りの部分行列を考えます。今度は(2,2)をピボットとして第2列を掃き出します。

   B−A
 サンプル画像
   AとBを交換
 サンプル画像
   B+A×(−2)
 サンプル画像

(d)(1,1)、(2,2)、(3,3)、・・・と対角成分を順にピボットとして掃き出しを行い、一番下まで行ったらそこで終了します。    Bを11で割る
 サンプル画像
   Bを使って@とAの3列目を0に変形する
 サンプル画像

この時、解はx=4、y=1、z=1となります。



 (3)正則行列と逆行列

n次の正方行列に対して

      AB=BA=In (Inはn次の単位行列)

を満たす行列があるときBをAの逆行列といい サンプル画像と表記します。 またAが逆行列を持つ時、Aは正則であるといいます。

定理1

 n次正方行列A,BについてAB=In ⇔ BA=In。

定理2

 n次正方行列において以下は全て同値、つまり同じ意味をもつ。

(a)Aは正則行列
(b)連立方程式:Ax=bは、任意のbに対して一意の解をもつ(解が求められる)。
(c)Aは単位行列に等価、つまり基本変形によって単位行列へ導かれる。 

定理3

 n次正方行列Aに対しn×2n行列[A In]を掃き出し法で[In C]の形に導くことができるときAは正則であり、この時の逆行列は
サンプル画像=C
である。

定理3について少し説明をしましょう。
これは掃き出し法を適用することによって、逆行列を求めることができるという意味です。

サンプル画像
 この逆行列を実際に求めてみましょう。それには以下のように掃き出し法を適用します。
サンプル画像

 これより、
サンプル画像




←戻る 目次 次へ→